身近にあったアメリカンな光景
以前はしばしば出かけた海外も、パスポート切れ次回の予定はなしですが、道を歩けばそれっぽいお店や雰囲気は気になります。
Nikon D7200 with 35mm f1.8
この写真にちなんで、こちらを紹介したい。
「ブラック・ダリア」ジェイムズ・エルロイ(文春文庫)
暗い情念に取り憑かれるとどうなってしまうの?
切れ味鋭い短編も好きだが、漬物石のように重い長編も好きです。
初ジェイムズ・エルロイはケネディ暗殺にまつわる「アメリカン・タブロイド」、そして今回は映画もみた「ブラック・ダリア」を読みました。じっくりエルロイも読もうかなと。
1947年に発生した実際の事件をモチーフにしているようで、映画でも解決に至った記憶はなかったのですが、小説では二転三転した意外な結末が…。
いい奴が実は悪い奴だったと知って、私は恐ろしかったのだ。
怖い基調はまずここ↑です。
そして例えば、訪問先にあった「剥製のスパニエル犬」、
「(略)ダディはそのとき拳銃の掃除をしていて、そこへバルトーが新聞をくわえてはいってきたわけ。ダディはそのひとときを永遠に記念にしたくて、バルトーを撃った(略)」
愛犬バルトーを剥製にして、めでたい話の記念にするというようなエピソードが積み上がる。
腐敗したロスアンゼルス警察と言うが、警察だけでなく、弱肉強食で自分の身は自分で守る、立身出世を夢に善悪を無視して突っ走るのは、とてもアメリカンらしい!と楽しめました。
訳(やく)が悪い訳(わけ)ではなく、翻訳だし、文を読ませる小説ではないので、自分に刺さった引用は少ないけれど、原タイトルの意味と一緒にアメリカン・ノワールなエルロイの世界を一応全部読みたいと思っています。
あの手のこの手で相手の協力を求めたり、駆け引きする。
私は転属願いを引き裂いて、再びサーカスに加わるために引きかえした。
主人公はそうして二転三転と何か(小説では結末)に向かって、サーカスに参加し続けるのでした。それでも文庫で600ページ近いし、登場人物は少なくないし、カタカナの名前だしで、ストーリーから取り残されないよう連日かなりハマって読みましたが、どこまでもどこまでも人間の暗い情念に引っ張られました。
以下、「アメリカ文学界の狂犬」エルロイ・ワールドです。
「暗黒のL.A.」4部作
- ブラック・ダリア
- ビッグ・ノーウェア
- L.A.コンフィデンシャル
- ホワイト・ジャズ
「アンダーワールドU.S.A.シリーズ」3部作
映画はこれ!
2006年に公開され(わりと)リアルタイムで観て、エルロイの名前を知った。今ではもう忘れられつつある1作なのかな。
スカーレット・ヨハンソンとかヒラリー・スワンクの存在が新鮮にも感じたのだけど。
この1冊でした
- 作者:ジェイムズ エルロイ
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 1994/03/10
- メディア: 文庫