本一冊

すべての積読は一冊の本から始まる

「月の満ち欠け」から読み始めた佐藤正午作品

今宵の月は明るかった(本人談)

平成(そして、これからは令和)に活躍、つまり現在進行の作家かと思う。自分、あまり現在進行形の作品を読まないのですが、たまに新聞の書評などで知り得た作家については、エッセイなどをきっかけに、読む機会がある。

一時期は映画の原作をしばしば読んでいたが... 沼にはまる前に抜けた感じがある。

それでも、伊坂幸太郎作品や万城目学作品は好んで結構読みました。そういう流れでたどり着いたのが、こちらのNHKドラマだったのかなと。

書店員ミチルの身の上話」原作は「身の上話」

NHKのドラマになるって... きっとそれなりに手間暇を要した面白い作品に違いない!という勝手な思い込みがありました。

詳細はYouTube引用より、こちらを参考ください。思い起こしてみても、期待を裏切らない面白さだったなと。

www2.nhk.or.jp

2012年ということは、もう10年以上もむかしのことで、ようやく積読から佐藤正午作品を発掘して読みました。

「月の満ち欠け」

自分は好みの出版社があり、同じ著者でも出版社で作品を選ぶ傾向がある。

「身の上話」が光文社で、その後自分に引っかかっていた「鳩の撃退法」が小学館、ちょっと尻込みしていた感じのところ、意外にも直木賞受賞作品が岩波から出版されたと知り、すっと手が出てしまった。好きで読む読書なので、出版社の偏見は見逃して欲しい。

特別寄稿=伊坂幸太郎

ここは「解説」ではなく「特別寄稿」となっているのがポイントなのだが、関心ある方はぜひ本書にてご確認いただければと。

もったいぶるのではなく... 伊坂氏なりのケジメで、作品の解説というよりは、伊坂氏にとっての佐藤作品との距離の取り方なのかもしれない。自分にとっては岩波文庫での意外な組み合わせ!と思う反面、作品の質は少し似ているかも。

映画化、主演は大泉洋

こちらも、2022年に映画化されているようだな。


www.youtube.com

近頃(いつごろのことか)の映画は量産されているせいか、なんだか今ひとつ自分の感覚にあわない...大泉洋氏という俳優は大好きだが、この作品の主人公とは違うかな(誰が適任かという意見もないが)。

監督は廣木隆一氏ですか、ふむ。

 佐藤正午作品の(自分にとっての)魅力

率直なところ、面白く読んだ!

「身の上話」(ドラマしか見ていないが)との共通点も感じられ、(原作を読んでいないが)ドラマも佐藤正午作品の魅力を上手に表現していると思ってしまっった。

普通の平凡な生活のちょっとしたすれ違い(とくにそれが男と女の思い)が、大きな出来事(これがあるから、物語になるのだが)に発展するドラマ性である。

そういう日常生活のズレと、人間の喜怒哀楽が噛み合う感じが、佐藤正午作品と伊坂幸太郎作品の共通点かもしれないと自分は思った。

この一冊でした