「夜の終る時/熱い死角」結城昌治

ヘッダー画像の選択はいつもこじつけだけど、それを以っても今回は適当な画像の調達ができかねたので書影をば。

文庫概要

タイトル夜の終る時/熱い死角
著者結城昌治
編者日下三蔵
出版社ちくま文庫
この写真にちなんで、こちらの文庫を紹介したい。

副題には「警察小説傑作選」とある。

内容紹介

「あるフィルムの背景」に続く、日下三蔵氏による再編集モノだけど、ちくま文庫マーケティングうまいなって。読まずにはいられないねって。個人的には、警察小説というり刑事小説って漢字がしたけど、検事モノもあったからやはり警察小説の方が相応しいのかも。

コンテンツは以下の通り。

  • 夜の終る時
    第一部/第二部

  • 殺意の背景
  • 熱い死角
  • 汚れた刑事
  • 裏切りの夜
  • ノート(「夜の終る時」)
  • 編者解説 日下三蔵

夜の終る時

1963年発表のようだから、当時はまだまだ(令和の今だともはや過去だけど)戦前&戦後の雰囲気が語れる状況のようだ。東京オリンピックもまだだし。

腰木は、自信過剰で権力意識の強い刑事の型とはちがっているが、やはり戦前に育った刑事のタイプを脱していない。法律が変ったからといって、人間がそっくり変ることはできないのだ。(略)その代わり、仕事は人一倍熱心で、むかし風の刑事気質というのは、生活のすべてを仕事に打込んで悔いないようなところがある。

警察も現在に比べると、「コンプラ」というより、物事の良し悪しは個人に依っていた訳で、現在より人間性の描き方が刑事とは言えダーク(闇)。ネタばらしをするつもりはないけど…

おれが狙ったのは、そういう連中だった。事件にもならず新聞ダネにもならずに済んだが、それらの事実が世間に知れたら、社会的信用を失って破滅に追いこまれそうなやつらを選んだ。(略)法律が制裁を加えないから、代わって制裁してやる。それで金が入るなら、悪い仕事ではない。おれはそう考えた。

誰が犯人かというのは、第二部で著者自らが明かすという面白い構成になっているけど、その正義側の人が悪の方へ傾いていく過程に読み応えあり。

(略)法律がぬけ穴だらけだということを知っていた。悪いことをしても、捕まらぬ方法はいくらもあった。(略)お互いに実にうまくやっていた。しかし、彼はとうとう足を滑らしてしまった。

正直、現在も多かれ少なかれ、ギリギリのところで上手にやっている人って存在すると思うわ。

怖いけど戦争モノ好きだから、直木賞受賞「軍旗はためく下に」と「ゴメスの名はゴメス」は是非とも読んでみたい。

この1冊でした(Amazon)

個人的には中公文庫も捨てがたい。