もう廃刊なので、新刊で揃えることはできないけれど、ポツポツ拾い集めたいなと思っていたところ、(一)~(六)まで揃って1000円だったので、ついお買い上げ。
本のタイトル | 半七捕物帳(一) |
著者名 | 岡本綺堂 |
出版社 | 旺文社文庫 |
wikipedia からの一部抜粋によれば
1987年(昭和62年)までは旺文社が文庫本の出版権を十数年間保有し、作品集を旺文社文庫(全6巻)で刊行した。旺文社が文庫レーベルの刊行を終えた際は、内外の人気・名作とされる古典作品を中心に、この文庫でのみ事実上入手可能な作品が数多く存在したことから、それら作品の以後の出版権の行方などを巡って、出版業界ではちょっとした騒ぎになった。その渦中にあって、『半七捕物帳』シリーズは出版業界内外から最も注目を集めた作品の一つであった。
と、注目を集めていたらしい。…らしい。
まだお江戸の空気が残っていた?
これまで自分が読んできた時代もののうちでも、最も江戸っぽい空気が感じられる作品だと思う。
著者の岡本綺堂は1872年(明治5)~1939年(昭和14年)という時期に生きた人だから、まだまだ本物の幕末を口伝えでも知ることができたのだろうなと。
現在では光文社文庫で読むことができるらしいが、先に書いたとおり、「出版業界ではちょっとした騒ぎになった(略)『半七捕物帳』シリーズは..最も注目を集めた作品」とくれば、やっぱり旺文社文庫で読んでみたいなと。
読んでいて、作品に登場するお道具立ても結構楽しかったりする。もちろん、携帯電話やスマフォなどは登場しない。
ラインアップは次のとおりで、短篇集っぽい分量。
- お文の魂
- 石燈籠
- 勘平の死
- 湯屋の二階
- お化け師匠
- 半鐘の怪
- 奥女中
- 帯取りの池
- 春の雪解
- 広重と河獺
- 朝顔屋敷
- 猫騒動
- 弁天娘
- 山祝いの夜
細かい点は細々あって、時代性も感じられるのだが、「なるほどね」と思うのは以下のとおり。
お化け師匠
半七は、私が通勤慣れた地域(赤坂見附界隈)に住んでいる。強飯とは、おこわだなと。詳しい描写がないのが残念、こういう点が池波正太郎と異なるかも。
来月は氷川様のお祭りで強飯(こわめし)でも炊くから遊びに来てくれとのことであった。
そもそもは、現在でいう刑事みたいな同心を非公式に助ける「御用聞き」みたいな立場で、事件を解決してゆく。それだから、日本お江戸版探偵推理小説となる。
「つまり手先の下をはたらく人間で、表向きは魚屋とか左官とか桶職とか、何かしら商売をもっていて、その商売のあいまに何か種をあげて来るんです。これは蔭の人間ですから決して捕物などには出ません。どこまでも堅気のつもりで澄ましているんです。岡っ引きの下には手先がいる。手先の下には下っ引きがいる。それがおたがいに糸を引いて、巧くやって行くことになっているんです。それでなけりゃあ罪人はなかなかあがりませんよ」
近所の眼があるから、悪いことはできないんです..って、だけどそうやって近所との付き合いがあってこそ、社会から孤立せずに生きてゆくこともできたんだろう… と思う。現在ならさしずめ、ご近所の堅気に見られているのではなく防犯カメラということか。
朝顔屋敷
実はどの作品も割と(短編だし)根深い話ではない。
女の浅い知恵と中小姓の小才覚とが一つになって、組み上げられたのが今度の狂言であった。
ちょっとした人間の黒い部分やつまらぬ計算高さが事件を起こしている。それを半七が巧みに暴露するのだけど、この手の話を楽しく読めるようになると、落語や歌舞伎も非常に親しみがもてるようになることに気づいた。
まだ第1巻で第6巻までは5冊もあるので、追々詳細をボチボチ紹介してみたい。
この1冊でした(Amazon)
旺文社文庫は廃刊なので、残念だけど光文社文庫で。