「真夜中の太陽」米原万里

すでに反語っぽいタイトルが魅力的で内容が気になる。

カバー画 N・V・パルホメンコ
カバー画 N・V・パルホメンコ

ロシアのウクライナ侵攻に際して、もっとロシアを知りたい!となぜか自分が手に取ったのは米原女史の著作だった…。早くからこの方の名前も存じていたが、わりに早く若くして(2006年に56歳で)亡くなったときには驚き残念に思った。

文庫概要

タイトル真夜中の太陽
著者米原万里
出版社中公文庫
この写真にちなんで、こちらの文庫を紹介したい。

カバー画 N・V・パルホメンコ

表紙の画を描いた「N・V・パルホメンコ」なる人物の詳細は不明だけど、米原女史が好んでいた画家で著書の表紙に多く使われているとのことだった。フム、自分も嫌いではない。

内容紹介

2000年前後の雑誌「ミセス」「婦人公論」や「熊本日日新聞」などで発表された文章で構成されている。文章多めの婦人誌でのエッセイとは…(アラフィフの自分も含めて)ぼんやりしがちな女性たちへの、激励の意味もあったのだろうか?

構成は次の感じで。

  • プロローグ 摩天楼の小咄
  • 二一世紀は二十世紀の続きなのか
  • 世紀末在庫整理 12編+2コラム
  • 真夜中の太陽 27編+1コラム
  • 見えすいたトリック 5編+1コラム
  • エピローグ ちゃんと洗濯しようよ!
  • あとがき
  • 解説 佐高信

コラム1 ロシアの人が東京を見れば……

常々、自分も海外(特にヨーロッパ)と比較して日本の街並みはなぜ魅力がないのかな?と思っていたことを、教えてくれた一文だった。昔の木造のお家の方が、きちんと手入れさえしておけば、もしくはそれを上手に取り入れて改築すれば、その方が美しくなれたのではないだろうか。

まあ、自分も含めて一般日本人にそういう教養やセンスはないと思うけど。

そして、木造にかわって鉄骨やコンクリート造りの建物が増え、高層化が進む今も、東京の風景がロシア人の心に刻むイメージは、さほど変わっていない。何よりも、都市としての統一感と調和の欠如、それに、緑地帯と道路と建物の配分の奇形的なほどのアンバランスに、多くのロシア人は違和感をいだくようだ。

解説 佐高信

またなぜ解説が佐高信氏なのかも(詳細は省くけど)気になった。共産党系思想というのでしょうか… そういう系統でつながりがあったのでしょうか。

そのころ、私はまだ、米原さんの恐ろしさを知らなかった。「恐ろしさ」とは、体験と知恵、そして、それから醸し出される「恐さ」ということである。

と始まり、

少数派の砦であるべきマスコミにもその波は押し寄せ、米原さんや私のコラムは、ときどき、連載中止の憂き目に遭うが、それを防ぐためにも、”真夜中の太陽”を愛する人がふえてほしい。

と終る。

それにしても、米原女史のタイトル付けは結構独特、(個人的趣味の判断で恐縮だが)良し悪しが極端な気もする。

代表作の「嘘つきアーニャの真っ赤な真実」とか「オリガ・モリソヴナの反語法」って、う~んよくわからない… と当初は思っていたが、わかってみると、なんとなく腑に落ちる。著者の思いも一入(ひとしお)な感じもある。一方でこの「真夜中の太陽」とか「旅行者の朝食」とかは、わかりやすいし好きだ(結局個人の好みで判断)。

一連のニュースで、日本人の多くは東欧諸国の地理に詳しくなっているはず。

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