富岡八幡宮はそれでも江戸の残り香を感じられるような
近頃、残念な事件があった深川の富岡八幡宮、この数年、職場が近いので仕事が暇なときはしばしお散歩をした(やや過去形)。
と記載があるよう、相撲ともゆかりが深いところ。画像はお散歩中にカメラ練習で撮影した力石。深川「富岡八幡宮」力石オブジェ。
力石は
日本では鍛錬と娯楽として、江戸時代から明治時代まで力石を用いた力試しが盛んに行われた。
として利用されたものの、現在ではすっかりオブジェになっている。自分、結構このオブジェに惹かれ各地の八幡宮に行くと探してしまう。
この写真にちなんで、こちらを紹介したい。
「卵のふわふわ」八丁堀喰い物草紙・江戸前でもなし
宇江佐真理(講談社文庫)
喰い物人情江戸前小説に癒される
「文庫の会」の交換会で我が家へやって来た1冊(感謝)!
#スマートレターで交換会#文庫の会
出遅れで恐縮です😅
うちにも無事に届いてました!
挑戦したい江戸前小説ドンピシャな巡り合わせに感謝です。
マツヲさま、めいさま@chi516 ありがとうございます!
しおりは絵もデザインも素晴らしく、いけてないじぶんに凹むけど参加できてハッピーです😳 pic.twitter.com/unYovIoUUM— やのふじね (@1book1photo) 2018年3月24日
交換会のお題は「心がぽかぽかする本」で、途中に主人公の妻女「のぶ」が夫と気持ちが通じ合えず、ぽかぽか…よりトゲトゲだったが、その反動あってか最後はなかなかの大円団!と言いたいものの、それだけが全てではない、もう一捻りある結末にぽかぽか with だけどしんみりな奥深さだったよ。
タイトルも聞いたことあり作家の名前も知ってはいたものの読んでみたい!と思っていた1冊だったので、まさにグッドなタイミングであった。参考までにとwikipediaで作家を調べてみたところ、作者は乳癌で2015年に亡くなっていたのは残念であった。もう新作は読めないのね。
短編集読切りも可能だけど、ゆるくストーリーが繋がっている。
- 秘伝 黄身返し卵
- 美艶 淡雪豆腐
- 酔余 水雑炊
- 涼味 心太
- 安堵 卵のふわふわ
- 珍味 ちょろぎ
主なメインは八丁堀〜日本橋界隈だけど、ちょぴっとだけ深川&富岡八幡宮も登場。この地域は、わりと昔ながの雰囲気残っている気がする。同じ東京でも自分が住む杉並とは少し違う。
そして、時代小説の楽しみの一つには、風俗に関する描写があるかと。これは着道楽が刺さりそうな記載。
薄水色の無地の着物に茶の献上博多帯、それに紋付羽織。胸許をゆったりと着付けているが、だらしない印象ではない。むしろ、こなれた感じが粋である。腰に下げた煙草入れも極上の品に見える。着物道楽のようにも思えるが、今助の着ている物や小物はすべて贔屓の客からの祝儀だという。
この辺は、食い道楽が刺さりそうな記載。
自分で言うのも何だか、良く言えばキャリアウーマン、悪く言えば行かず後家の自分も女筆指南の似合う女だろうか。こういう風俗?というか生活形態などを丁寧に描いてくれると、ぐぐっと小説が現実っぽく?なる。
女筆指南とは娘ばかりの手習所のことである。娘を持つ親の中には男の子と机を並べて勉強するのを嫌がる者もいるので、そういう手習所も江戸には結構多い。
ちょっとした日常生活の楽しみが伝わっている感じもいい。
走りの食べ物を珍重する江戸っ子にとって、若葉の頃の心太もまた乙な味なのだ。
「心太」と書いて「ところてん」と読むらしい。
気軽に引き込まれる小説で楽しめた。珍しく帰りの地下鉄で寝ることなく、小説の世界に浸れたよ。ときにまた、こういう気軽に楽しめるの見つけて読みたいっす。