「ジゴロとジゴレット」S・モーム

文庫概要

画像は10年以上前に訪れたロンドンのバッキンガム宮殿の衛兵交代式の様子、作家モームがイギリス人というだけで選んだ。舞台がロンドンであることに意味がある作品は含まれてないだけに、もうちょっと適切な画像を検討したが、なかったのでロンドンの画像ということで。

タイトルジゴロとジゴレット
著者サマセット・モーム
訳者金原瑞人
出版社新潮文庫
この写真にちなんで、こちらの文庫を紹介したい。

内容紹介

サブタイトルで「モーム傑作選」とある。ショートではないですが、短編なので完結して読める、相変わらず当たり前だけどハズレ作品がない。

  • アンディーブの三人の太った女
  • 征服されざる者
  • キジバトのような声
  • マウントドラーゴ卿
  • 良心の問題
  • サナトリウム
  • ジェイン
  • ジゴロとジゴレット
  • 訳者あとがき
  • 解説 角野栄子

「征服されざる者」はモームというより、モーパッサンではないかと思った。とても読み応えある短編だったけど、救いが… 救いが見出せなかった。個人的には読後にぐったりと気力を持っていかれるタイプ。

キジバトのような声

(略)しかし、人間として、彼はほかの人とはちがうように思えた。三十歳くらいになって、とげとげしいところがなくなり、経験を積んで、自分は自分で考えているほど頭のいい人間ではないと自覚すると、おもしろくて付き合いやすい男になるのではないだろうか。(略)

モームの特徴って、一人称で語る自分のことも三人称で語る他人のことも、非常に丁寧に人物が分析され描写されていること。それが時代や国を超えて、妙に現在の日本で暮らす自分も納得できるだけに面白い。

だが、わたしは物わかりのいい人間より、ちょっと面倒な人間のほうが好きなのだ。彼女はいうまでもなくいやな女だが、あらがいがたい魅力があるのはまちがいない。

そして、結構面倒な人ほど、作家本人は作品のネタ探しの側面もあろうが、面白いと宣言して接触する。だけど、作家という職業であることを外しても、人間に関心を寄せている人だと感じる。だから、こういう作品を描けるのかなと。

本当にどれも緩みのない作品だけど、よりユーモアが感じられたということで、タイトルになっている「ジゴロとジゴレット」が印象残るかな。ジゴレットの言葉と存在がいい。

この1冊でした(Amazon)