Watermelon Sugar「西瓜糖の日々」R・ブローティガン

「西瓜糖」自分はベタに「にしうりとう」と内心読んでいたけど、「すいかとう」と読むらしい。スイカってカタカナのイメージが強いけど、漢字で書けば西瓜と初めて気づいた! 西瓜糖とは、訳者の造語かな?と思いきや、ネットで軽く検索して引用すると

西瓜の果汁を濃縮したもの。 多量の糖分、林檎酸を含む。利尿効果があり、腎臓病の薬とされる。

とあった。なかなか、原題も邦題もいい感じだ。

本のタイトル西瓜糖の日々
著者名リチャード・ブローティガン
訳者名藤本和子
出版社河出文庫
この写真にちなんで、こちらの文庫を紹介したい。

自分のお気に入りの作品、もっといろんなスイカ写真撮り溜めたい。

すっとこの小説世界に入り込めて

訳者の苦労を蔑ろにするつもりはないのですが、すっと自分もその小説世界を遠目に見ている気分になれ、一気に読めてしまった。

構成は三部(三編?)になっているけど、そのなかで前回読んだ「アメリカの鱒釣り」のように、お題がついた短文が束ねられている。

  • 第一編 西瓜糖の世界で
  • 第二編 インボイル
  • 第三編 マーガレット

第一編 西瓜糖の世界で

「ポーリーンの小屋」というタイトル作品で

ポーリーンがランタンに明りを入れた。西瓜鱒油が燃えると、とてもよい匂いがした。ここでは、西瓜と鱒を混合して、ランタンに入れる油を作ることができるのだ。灯火にはぜんぶその油を使う。やさしい香りがあって、しかも明るい。

多分、ブローティガンの想像上のネタだと思うが、何かしら童話チックでいい雰囲気で、こういう世界観?を語れる作者はいいなと自分好みの作家になる予感。

第二編 インボイル

作品タイトルに重要な意味は(この紹介文では)ないけど「手押車」

「いったい、どういうことだったんだろう」

「わからんさ」とチャーリーはいった。「忘れられた物から作ったウィスキーを呑んだのがいけなかったんだ。あれが間違いのもとだった」

日常生活で実在しそうなちょっとした出来事を、子供心で演出してる。

訳者あとがき

ちょっと長くなるけど

西瓜糖、西瓜糖は甘いだろうが、けっしてそれは濃厚な甘さではないだろう。西瓜の果肉のことを考えてみても、そこには過度な感じというのは不在だ。(略)原題はIn Watermelon Sugarだが、これはきっとWe lived in cloverというような場合のイディオムが発想のはじめのところにあったことと思う。We lived in cloverというのは、牛がじゅうぶんにクローバーの葉を食べて暮らすように、「われわれはなに不足なく暮した」という意味で、この in cloverがin watermelon sugar になったのだろうと思う。

なるほど、さすが。自分はこの in の訳し方(解釈)がわからずにいた。

しかし、この小説はそのようなほのぼのとした結末は向かえない(悲観調でもないけど)。それはきっと自死を選ぶ作者の人生観みたいなものを反映していたりするのかな?と考えてしまった。

この1冊でした(Amazon)

このような編集本、ちくま文庫のラインナップが気になりまする。