「吾輩は猫である」夏目漱石

漱石山房記念館の柘榴石

最初と最後しか記憶に残ってなかった

日本人として読んでおきたいと思っている作家が何人もいる。その中の筆頭格が、かつての1000円札夏目漱石で実際若いころ(中学生)からチラホラ読んでいるのに、読んだ事実は覚えていても、内容を覚えていなかったりする。

猫もその1冊で、多分過去2回は読んでいる。

本のタイトル吾輩は猫である
著者名夏目漱石
出版社新潮文庫
この写真にちなんで、こちらの文庫を紹介したい。

なぜ記憶に残っていないかと我ながら分析してみると、漢語調で読みづらかったり、途中冗長的(文豪に失礼!)で記憶に入ってこなかったり、ストーリーを追えずにいる。比較的「坊ちゃん」は覚えている。

それでも以前、前後三部作6作品をがっつり読んだから、文体は慣れてた(はず)。

今度はしっかり記憶に入った

調子に乗ってくれば、ぐいぐい読める漱石の作品である。ところどころ、今回も中だるみに陥ったけど、部分的には非常に調子よく読めるた。

全体を把握できるように、まとめてみた。

  • 一 p5~23(18) 主要な人物が登場
  • 二 p23~86(63) 猫、三毛子さんに心寄せる
  • 三 p86~137(51) 金田夫人登場(金満家の鼻子)→これは結構バックボーンとして後々まで基調路線が張られている
  • 四 p137~178(41) 金田夫人の狙い
  • 五 p178~218(40) 猫、泥棒を見逃す
  • 六 p218~257(39) 寒月くん、それと東風くんと金田家の子女
  • 七 p257~297(40) 猫、銭湯に行く
  • 八 p297~346(39) 落雲館の生徒の野球ボールが入ってくる
  • 九 p346~393(47) 主人の痘痕、泥棒が捕まる
  • 十 p393~458(62) 主人の外出、雪江さん来る
  • 十一 p458~545(87) ヴァイオリンと寒月くんの結婚

ぐいぐい引き込まれるのは、猫の飼い主・主人公である苦沙味先生と取り巻きの話より、猫の話であった。

有名な冒頭。

吾輩は猫である。名前はまだ無い。
 どこで生まれたか頓(とん)と見当がつかぬ。何でも薄暗いじめじめした所でニャーニャー泣いていた事だけは記憶している。

そして、ネタバレな最後の一文。

吾輩は死ぬ。死んでこの太平を得る。太平は死ななければ得られぬ。南無阿弥陀仏南無阿弥陀仏。難有い難有い。

猫に世間を語らせる方法を思いついた漱石をさすがだと思う。

是非に一度は読んでおきたい、そして記憶に残しておきたい作品だなと思った。

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