池内紀エッセイ「作家の生きかた」が一列目の人生とすれば

自分の思う通りに生きればいい

古書店で出会ったとき、以前読んだ「作家の生きかた」を思い出した。こちらは作家に限らず、どの方も分野を代表する人物ではないかもだけど、その影で信念を貫いた方々だった。自分の見識を少し押し広げてくれた一冊だったよ。

本のタイトル「二列目の人生」隠れた異才たち
著者名池内紀
出版社集英社文庫
この写真にちなんで、こちらの文庫を紹介したい。

幸田文女史の引用から始まる

「はじめに」の文章で、離婚した幸田文による文章の引用を利用している。

「結ばない縁のはしばしにも忘れないものがあって、こうして三十年過ぎた今も記憶の訪問に逢うからである」

なかなか味わいある言い方だなと。さすが、物書きだなと、近頃すっかりコリコリに凝っている自分の心に染みてくる。

なお、掲載された方々のラインナップは次のとおり。

  • 大上宇市(もうひとりの熊楠)
  • 島成園(松園のライバル)
  • モラエス(ハーンにならない)
  • 中谷巳次郎(無口な魯山人)
  • 西川義方(天皇のおそばで)
  • 高頭式(先ズ照ラス最高ノ山)
  • 秦豊吉(鴎外の双曲線)
  • 魚谷常吉(包丁とペンと)
  • 篁牛人(志功を見返す) たかむら
  • 尾形亀之助(賢治の隣人)
  • 福田蘭童(尺八と釣り竿)
  • 小野忠重(版の人)
  • 中尾佐助(種から胃袋まで)
  • 早川良一郎(けむりのゆくえ)
  • 橋爪四郎(もうひとりのトビウオ)

どの人にも、意外な発見!があったのだが、とくに驚いたのは「福田蘭童」で、ときおり名前を見かける方だったのが、どういう経緯の方か全く知らずにいた。なんと、洋画型の青木繁(作品が切手にもなっている)の息子さんだった。ちょと人生、訳ありな感じであっても多くの文化人と交流のあった方だったので、やっぱり魅力ある人だったんだなと。

なおご紹介引用は、こちらをば。

  • 島成園(松園のライバル)

画家として名前は存じていた。まだ封建的な世間において、功名心の薄い女性だったのかもしれないが、それを抜きにして、屈託ない作品は素直に素敵だ!と思えただけに、その人物象を知れたのがよかった。

中学生をちっとも子供扱いしない。当人が子供のようにはしゃぐ。中学生は、その齢ごろ特有の敏感な感覚で、目の前の人が「ただの人」でないことを感じとっていたのではあるまいか。とにかく何かがちがう。全身にそんな雰囲気があった。

最後に、「単行本あとがき」から

もともと、世評といったことへのこだわりから遠い人たちである。ほかに心を満たすことがあって、世才にまでまわらない。だからこそ世に隠れた。

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この1冊でした(Amazon)

Amazonで文庫本はないみたいで、ごめんなさい。