「私の食物誌」吉田健一


「日本は西洋料理も世界一に旨い国だった」と語る

こちらはプロヴァンス風とのこと。プロヴァンス風とは「にんにく・トマト・オリーブ油などを用いる料理が多い」のが特徴らしい

この写真にちなんで、こちらを紹介したい。
私の食物誌吉田健一

吉田茂首相の息子で、麻生元首相の伯父

家柄が家柄なので、幼少期からパリやらロンドンだかで暮らしたイギリス文学者である。

このような方が書く食べ物エッセイを私は好んでよく読む。1972年(!)出版なので、さほど古くもないと思われるのだが、まだフランス料理など珍しい時代だったのだろうか、「日本の西洋料理」と題し、

フランスのブルゴーニュ産の葡萄酒はコクがあるのに対してボルドー産のは淡白で腰があるとでもいうのだろか。

とセレブ社会で生きてきた方でも、ワインでなく葡萄酒と言い

その酒に比べれば料理の値段は大したことはないから白葡萄酒に生海老と鶏、赤葡萄酒で子牛と野鳥、或は初めから赤葡萄酒で通して家鴨の肝に野鳥に子牛の喉の肉という風に、そこまで来ればおでん屋に行ったようなものでこの点は肴がなくても構わない日本酒と違って食べものの一口が葡萄酒の一口の味を増す仕組みになっているので食卓に向かって時間が経って行くのを忘れる。

と述べている。やっぱりワインは、肴があってのお酒なんだと納得。

これ以外は日本の食材に触れていて、日本海側や関西を中心に西日本が多く、北海道や東北はかなり少ない。決して美味しいものがないのではなく、口にする機会がなかったのかなと思われる。

この1冊でした

私の食物誌 (中公文庫)

 

私の食物誌 (中公文庫)