本一冊

すべての積読は一冊の本から始まる

武田泰淳の作品いくつか

「目まいのする散歩」


「目まいのする散歩」

 

最初はエッセイ系かと思っていたら、どうもご本人は小説の感覚らしいが、多分実体験に基づいた私小説よりな小説なのかなと。

 

こちらも口述(書くのは百合子夫人)であるし、妻の言動あっての面白さが作品を支えている気がした。なお、目次は下記のとおり。

 

  • 目まいのする散歩
  • 笑い男の散歩
  • 貯金のある散歩
  • あぶない散歩
  • いりみだれた散歩
  • 鬼姫の散歩
  • 船の散歩
  • 安全な散歩?

 

大病を患った後だけに、つねにフラフラ気味のようであり、その感覚で感じたことを散歩という行為に絡めて描いている。最後の2つは船でむかったロシア旅行の旅物語であるが、むしろ百合子夫人の「犬が星見た ロシア旅行」を読みたくなった。

 

結びの文が良かった。

 

地球上には、安全を保証された散歩など、どこにもない。ただ、安全そうな場所へ、安全らしき場所からふらふらと足を運ぶにすぎない。

 

他の作品

 

未読リスト

 

この辺は、いずれ読んでおきたいかも。

 

  • 富士
  • 十三妹(シンサンメイ)
  • 風媒花

 

他、短編集でもいい。

 

「新・東海道五十三次

 

妻、百合子夫人が運転する自動車での旅日記であるが、妻あっての面白さですね。

 

 

www.1book.jp

 

まだまだ泰淳作品の奥行きが掴みきれてない自分だが、関係者の著書を読むことで掴み始めている(かも)。

 

「遊覧日記」武田百合子

もともと、自分は夫より妻の作品の方からアプローチでした。

 

百合子夫人の作品と言えば、中公文庫「富士日記(上・中・下)」(このブログでの紹介はない)ですな。今の時代であれば、ブロガー向きな感性をお持ちだったのではと。彼女の作品で登場する夫としての武田泰淳として興味を抱いた次第である。

 

 

www.1book.jp

 

文学者夫婦で混同するのが、坂口安吾・三千代夫妻。総合点?では、武田泰淳・百合子夫妻の方が上回っているかなという感じです。