ふむ、癒やしとは無理くりな部分もありますが、ハズレのない読書をしたいときにはモームです。
そんなモームの一押しはこちらかな。
はじめに(画像の説明)
訳者は西川正身氏です。岩波文庫の表紙は少々味気ないものの、この無愛想が捨てがたい。
ラインナップ
- はしがき
- 楽しみのための読書
- アメリカ文学
- トロロップ
- メレディス
- ジョージ・エリオット
- イギリス詩選
- Ⅰ イギリス文学
Ⅱ ヨーロッパ文学
Ⅲ アメリカ文学
- 付録 モームのベストセラー論
今後自分が外国作品を読むときの参考したいところであるが、少しやはり時代感がある。だけど、時を経てもやはり面白いものは面白い!というのは、自分が言うまでもなく、良くも悪くも人間ドラマが描かれているのだな。
引用
- はしがき
他の多くの小説家のばあいのように、いわば真空のなかに住み、自分たち以外の世界はぜんぜん問題にしないといった人びとの、しかもわずか二、三名の人びとの運命ではなく、わたくしたちすべてが生活しているこのひろい世界を構成する、ありとあらゆる人びとの運命を問題にしているのであって、そのさまざまな運命を物語る作者のすぐれた技巧は、まさに完璧といわねばならない。
アメリカの書物が、このわたくしに興味をおこさせるためには、その土地の香りをもっておらねばならない。
それはマーク・トウェインで、彼にはいまいった性格が際立ってつよく出ているが、彼の作品のなかで、とくにそれが豊かに香り高くあらわれているのが、『ハックルベリ・フィン』である。
たしかに、トム・ソーヤより断然ハックルベリ・フィンが面白かった。
- 付録 モームのベストセラー論
モームが世界文学のなかからえらび出した代表的な小説一〇篇の名を、次にかかげておく。
- バルザック『ゴリオ爺さん』
- フィールディング『トム・ジョーンズ』
- ディッケンズ『デイヴィッド・コパフィールド』
- トルストイ『戦争と平和』
- メルヴィル『モービー・ディック(白鯨)』
- エミリー・ブロンテ『嵐が丘』
- スタンダール『赤と黒』
- ドストエフスキー『カラマーゾフの兄弟』
- フローベール『ボヴァリー夫人』
- オースティン『高慢と偏見』
結構読んでいるな、自分。
- あとがき
ここに訳出した”Books and you” は、「はしがき」にもことわってあるように、モームがアメリカの週刊雑誌サタデー・イヴニング・ポーストに三回にわたってよせた文章をもとにし(くらべてみると、わずかながら手が入れてある)、それに「はしがき」の文章を新たに加えて、雑誌に掲載した翌年(1940年)、公にした単行本である。