本一冊

すべての積読は一冊の本から始まる

春から「佐藤春夫」を読み始めてみて秋になった

佐藤春夫 小説集&見聞録

春だから春夫を読もう!と思ったのは、ついヘッダー画像の中公文庫をジャケ買いしたせいでもある。

日本文学史上では重要人物らしいが、私個人的には接点がない。詩人としても重要人物らしいが、石川啄木ほどにも室生犀星ほどにも、自分の心に刺さるようなフレーズにも出会わなかった。

Wikipediaには、佐藤春夫(1892年〈明治25年〉4月9日~1964年〈昭和39年〉5月6日)は、近代日本の詩人・小説家。)とあるが、春生まれだから春夫と名付けられた... という記載はないけど、何かで読んだ。そういう理由は自分好みである。

佐藤春夫詩集 阪本越郎編(旺文社文庫

中公文庫より先に詩集を読んでみた。

春夫詩抄

  • 殉情詩集
  • 我が一九二二年
  • 佐藤春夫詩集
  • 魔女
  • 佐藤春夫詩集(補遺)
  • 閑談半日
  • 佐久の草笛
  • まゆみ抄
  • 叙情新集
  • 佐藤春夫全詩集
  • 詩の本
  • 春夫詩存

漢詩訳詩集

解説に記載あった

永遠の青春を象徴する情熱と苦悩がこめられている。

自分には、読み取れなかったです。

  • 我が一九二二年

引用。

一度、上海へ行つて
支那童女を買つて来よう、
十四ぐらゐのがいい、
木芙蓉の蕾のやうな奴はいくらぐらゐするのだろう?

こういう箇所に反応するのが目的ではないが、むかしの男性の女性に対する感覚とは、こういうのが普通だったりするのかな?と妙なことを考えてしまった。まるで、ぬいぐるみでも扱う感じかな。

[女誡扇綺譚](じょかいせんきたん)(大正十四年雑誌『女性』五月号)
 この種の怪奇小説として作家の名声を高らしめた名作。
〜略〜
 ここには、ポーに比すべき作者の浪漫的才能が発揮され、今日読んでも新鮮なスリラー的魅力があり、しかも芸術的に磨きあげられている点は、芥川龍之介のこの種の短篇をのぞいては、他に類をみない技巧が行きとどいた力作である。

と、詩集で予習をして、いざ中公文庫を読んでみた。

佐藤春夫台湾小説集 女誡扇綺譚(中公文庫)

ちくま文庫や中公文庫は、過去の作品を再編集して装い新たに発売するのは... つい、欲しくなる。

帯には「100年前の台湾旅行に想を得た9篇」とある。

ラインナップ

  • 女誡扇綺譚
  • 鷹爪花
  • 蝗の大旅行
  • 旅びと
  • 霧社
  • 殖民地の旅
  • 魔鳥
  • 綺談
  • かの一夏の記 ーとじめがきに代えてー
  • 編集解説 植民地を行く旅人の目 河野龍也

「女誡扇綺譚」の冒頭より。

これから始まる。

人はよく荒廃の美を説く。〜略〜ただ一度そこへ足を踏み込んでみさえすれば、そこの衰頽した市街は直ぐに目に映る。そうして若し心ある人ならば、そのなかから凄然たる美を感じそうなものだと思うのである。

詩集より、わりと楽しく読めた。むかしの台湾の雰囲気(読んだ季節も夏のせいか)感じることができました。

個人的には、わりと解説を重要視してしまう。解説なくして、なかなか作品世界に入り込めない。

佐藤春夫中国見聞録 星/南方紀行(中公文庫)

一方のこちらは、先の台湾旅行の後に渡った中国大陸での見聞録だった。なので中国広し!のうちでも、台湾に近い都市限定である。

  • 南方紀行
  • 市井の人々 ーー大陸逸聞
    • 老青年
    • 南京雨花台の女
  • 郁達夫と田漢 ーー交遊の思い出
    • 西湖の遊を憶う
    • 秦淮画舫納涼記
    • 曾遊南京
  • わが支那游記
  • 旧友に呼びかける
  • 編者解説 無謀で無類の中国紀行 河野龍也

香港、北京や上海という都市を地名として知っているだけで、まだまだ知らない中国の都市風景があるわ!と楽しく読めた。

春夫作品は、詩集より旅行記の方が面白い(かも)。

積読には、まだ「美の世界・愛の世界」という少しギラつくタイトルの春夫作品が残っております。