もう再読はしないと思う
自分にとって、坂口安吾と言えば「白痴」より「堕落論」で何度か読んでいる記憶は残っているのに、内容は残っていない……。ということで、今度こそ記憶に残すぞと懲りずにページを繰ってみると、それはようするに良い意味での堕落のススメだった。
作家には申し訳ないけど、読者(自分のこと)にとっては印象が薄かったのかも。なぜならば、自分はもうすでに安吾氏のように、堕落した生き方をしているので。
画像のヤギはけして堕落しているのではないが、力を抜いて生きてるように見えるので選択してみた。
小説というよりエッセイに近い評論集かな
小文集の1冊、以下の作品が収められている。
自分、安吾作品は小説の方が好きだな。こうはっきり意見を文章で綴られるより、物語として構築されている方が読んでいて楽しい。
堕落論
安吾氏にとっての「堕落」の説明が何パターンかあるのだが、つまり楽天的でいい加減というニュアンスで使われていると思う。
彼等の知っていたのは仇討の法則に規定された名誉だけで、元来日本人は最も憎悪心の少い又永続きしない国民であり、昨日の敵は今日の友という楽天性が実際の偽らぬ心情であろう。
締めの文は
堕ちる道を堕ちきることによって、自分自身を発見し、救わなければならない。政治による救いなどは上皮だけの愚にもつかない物である。
いやしかし、本人は堕ちるとこまで堕ちて、自分を知って救われるのはいいけど、それによって周囲の人間や家族が振り回されてら気の毒だなっと、夫人の三千代女史の「クラクラ日記」を思い出したりする。
この一冊でした
新潮文庫もあるけど、今回自分が出会ったのは角川文庫。