本一冊

すべての積読は一冊の本から始まる

「失われた世代」の読書

「優雅な生活が最高の復讐である」


「失われた世代」についてwikipedia からの引用だが

 

「ロストジェネレーション」という言葉は第一次大戦後の1920年代にパリに滞在していたアーネスト・ヘミングウェイに対しガートルード・スタインが投げかけた台詞(You are all a lost generation. あなたたちは皆、失われた世代なのよ。)に由来(以下、略)

 

読んでいる(現在進行形)気になる人名やその作品を列挙してみよう。

 

1920年代という時代はグローバルでは第一次世界大戦後、日本だと大正から昭和初期、なんでも近代化が進む面白い時代だったのではと思うのです。アメリカは大繁栄をとげて狂騒の20年代、自分が生きた時代と照らし合わせてみると2000年代のITバブルで強いアメリカ!な雰囲気と似ているのでしょうか。

 

(個人的に面白いと感じるのは)当時のアメリカの人たちが強いドルに物を言わせて?憧れのヨーロッパ(特にパリ)に屯っている感じでしょうか。

 

 

「優雅な生活が最高の復讐である」

 

列挙にあがっていないが、自分には1920年代パリというテーマにとって、この作品が基点?になる。しかし、良いのか悪いのかタイトルの復讐が何に対しての復讐なのか、永遠に不明な気がしている。英単語の revenge は単純に復讐と訳せないのかな?

 

原題(Living well is the best revenge)は悪くない気がする。

 

フィッツジェラルド夜はやさし」のモデルにもなった(ジェラルドとセーラの)マーフィー夫妻の生活ぶりを綴った内容(らしいが)どうしても… フィッツジェラルドに関する内容が濃くなってしまうかな。

 

著者はカルヴィン・トムキンズ、訳者は青山南。著者はニューヨーカーの記者だったようだけど、こちら以外の著作は知らない。

 

初版が出た平成16年(2004年)ごろ図書館で読んだ記憶があり、やっぱり文庫本欲しい…と検索してみると3000円近くになって!(大好きな新潮文庫だから結局買ってしまった)けど…

 

  • まえがき
  • ふたつの家族
  • パリ
  • アルバム
  • アンティー
  • 故郷
  • 十五枚の絵
  • 訳者あとがき

 

文庫本の紹介言葉を借りると

 

その時代についての数多い記録が立証しているとおり、二〇年代にパリにいたアメリカ人の祖国放棄者たち の生活は、おおむね、自意識過剰なくらい知的興味に満ちたものだった。

 

となる。期待に違わず中編小説程度のボリュームだが、読み応えはある。一見完璧な夫妻にもうかがえるが、子供が成長するにつれ時代がまた戦争に向かうにつれ、後半生はなかなかにハードだったようだ。けして他人の不幸を楽しんでいるのではなく、自分はどちらかと申せばこの本(夫妻)を通してフィッツジェラルドを眺めている。

 

本当はこの本(夫妻)を通してヘミングウェイも眺めたかったのだけど、少しだけ登場するものの良くも悪くも疎遠だった模様。

 

2022年11月に単行本として再出発しているわ。

 

 

「移動祝祭日」

 

外せないのも、こちら。

 

実は何度も読んでいるのだけど、今回が一番著者の気持ちができた。回顧録と言ってしまえばそれまでだけど、より質の高い作品を書くために、実生活(実体験)も含めて試行錯誤していたのだな等々。

 

意外でもないけど、上記作品のジェラルド・マーフィーと接点もありつつ、具体的な記述がないのは、互いに存在は認識しながらも、深く付き合うほど互いに好意は抱いていなかったよう。

 

それと冒頭にガートルード・スタインへの言及があり、自分は彼女の存在を知ったのはこの本です。

 

詳細はこちら

 

www.1book.jp

 

「三人の女」

 

 

とても読むのに時間を要した1冊でした。

 

著者ガートルード・スタイン、訳者富岡多恵子、ともになかなかの女史ではないでしょうか。ラインナップは下記のとおりだけど…

 

  • お人好しのアンナ
  • メランクタ
  • やさしいレナ

 

解説より

 

スタインの英語がやはり独特で変っているので困らされたところもある。その独特で変っているところがおもしろく、それが好きであったから興味をもって近づいていったのに、いざ日本語にするとなると、わたしの能力では無理だと何度も思ったのである。

 

岡女史も苦労された模様、しかし

 

これら三人の女の生活を描いた「三人の女」という一種のオムニバス小説のそれぞれのおもしろさは、読んでのお楽しみであるから説明を避けるが、そのおもしろさを支える小説のスタインの言葉は徹底した口語体である。黒人娘と黒人の若い医者との恋愛は、普段の言葉で喋り合うことの繰り返しの中で、なにか得体の知れぬ抽象的なちがいが出現してこわれていく。とりとめなくかわす言葉によって、人間の闇の深みに手がさしこまれていく。

 

なるほどと思いつつ、ちょとした会話のすれ違いから恋愛感情が木っ端微塵に砕けていく過程がすごいと思った。

 

文筆家としては作品が少ない人物で、どちらかと申せば芸術家のパトロン的な存在として有名のようだ。Amazon で検索しても、もはやニーズは乏しい方のようだけど、何かこう天才的な何かをお持ちな方だったのかなと。

 

「雨の朝 パリに死す」

 

多くの出版社からいろいろな作品が出ておるかと思いますが、お気に入りの旺文社文庫からです。

 

著者はフィッツジェラルド、訳者は守屋陽一、ラインナップは下記のとおり。

 

  • 雨の朝 パリに死す
  • 冬の夢
  • 金持ちの青年

 

タイトルにもなっている作品が一番印象的だった。

 

全作品とも没落してからのフィッツジェラルドと被って読んでいて、読みながらどの作品も同じことを舞台を変えて語っているように読めた。これらと対比して「グレート・ギャッツビー」読めば、味わい深く読めるかも。

 

雨の朝 パリに死す

 

しかし彼は、ともかく子供がほしかった。そして今、それ以外に、すばらしいことは、何一つないように思われた。今ではもう、自分ひとりだけで、いろいろな楽しい思いや夢を、心に抱いていられるような、そんな若い青年ではない。

 

冬の夢

 

「ずっと昔、私の中には、何かがあった。しかし今、それはなくなってしまった。それが失われてしまった以上、もはやそれは存在していないのだ。(略)」

 

金持ちの青年

 

ここで、大金持ちについて、一言いっておこう。彼らは、私やあなた方とは、別の種類の人間なのだ。彼らは、年のゆかないうちから、財産を持ち、人生を楽しむ。そしてその影響により、私たちが冷酷になる時、彼らはやさしくなり、私たちが信頼している時、彼らは冷笑的になる。

 

Kindle Unlimited 会員なら無料で読めるらしい。ふむ。

 

 

シェイクスピア・アンド・カンパニイ書店」

 

2023/3/7に河出文庫から再刊?されたようだ。積読が溜まってて、新刊購入するのは気が引けるが欲しい… ではなく読みたい。

 

 

 

 

ジョン・ドス・パソス

 

 

やはり「U.S.A.」(小説)ですかね、だけど意外とニーズがないのか入手は難しそう。