2001年5月台北に行った時の画像、この抜け感に台湾を感じた自分、もう20年以上も前だけど変わったかな? 変わらないかな?
でも、この20年で身近に感じる国になったと自分は思っている。台湾出身の方々の文学を読めるようになったのも理由の一つかなと。
今回紹介の文庫本は、「歩道橋の魔術師」呉明益 です。
1971年生まれの作家
この数年、ちくま文庫、そして中公文庫の旧作を再編集して発売される新刊が気になっている一方で、河出文庫の外国作品も気になっている。
そういう状況下で、巡り合って積んであった台湾作品をようやく読んでみた。海外に行く機会も気力もないまま、異国の雰囲気に触れたかったのである。
- 天野健太郎=訳
- カバーデザイン◎川名潤
- カバー装画◎呉明益
- カバーフォーマット◎佐々木暁
調べてみれば、作家は表紙の画も手がける多彩な方で、1971年生まれらしい。自分と同世代と知ると(国は違えど)作品空間に妙な共感を寄せてしまう。
中編よりの短編が10+1作品
よく見かける手法かもしれないが、舞台設定は共通だけど読み切りのようでいて、全編とおして何気につながって1つの長編のような仕掛けになっている。
自分はサラリーマン家庭で育ったので、商売を営んでいるこの作品のような出来事に遭遇することはなかったが... 断片的でも、うっかり大人の世界をのぞいてしまった子供の気持ちってあったかなと。
ラインナップは次のとおり。
- 歩道橋の魔術師
- 九十九階
- 石獅子は覚えている
- ギラギラと太陽が照りつける道にゾウがいた
- ギター弾きの恋
- 金魚
- 鳥を飼う
- 唐さんの仕立屋
- 光は流れる水のように
- レインツリーの魔術師
- 森林、宮殿、銅の馬と絵の中の少女
- 単行本訳者あとがき(天野健太郎)
- 解説 魔法を信じるかい?(東山彰良)
ちょっと、ポエム的にもなるが、印象に残った表現をば。
- 金魚
ぼくのくだらない、いいかげんな人生のなかで、やっとひとつ残すものを見つけた。たとえ氷のように溶けてしまっても、それはきっと水となって、どこかに残り続けるだろう。
これって、この作者の「自分の人生は何もないけど、何かは残るのでは?」という真理を、自分は感じ取ったかも。割と作品のなかで、それを感じさせる言動を感じてしまった。
- 単行本訳者あとがき(天野健太郎)
ひとりの読み手として今、感じるのは、本書に登場して魔術師を語る商場の子供たちはみな、ふたつの時間に気づいてしまったのではないかということだ。
訳者の天野健太郎氏、台湾翻訳のキーパーソンかな!と思ったら、確かにキーパーソンなのだが、2018年に若くしてがんでお亡くなりに... 新しい作品や紹介がうかがえないのが残念である。作者と同じ1971年生まれだから、なおさら残念だ。
出会いがあれば、『自転車泥棒』も他の台湾作品もいろいろ読んでみたい。
この一冊でした
表紙の絵もいいでしょう!
自転車泥棒は、文春ですか!


