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P・ハイスミス「キャロル」同性とか異性とかが問題なのではないと思った

紅茶を飲むことは自分にとって非日常のこと

表紙は大好きなエドワード・ホッパーだった。同じ雰囲気の写真があいにく手元になかったので、(自分にとって)時間の流れが逆流しそうな紅茶とケーキのそれにした。

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熊本産・芦北紅茶
Nikon COOLPIX P5000

何故なら、自分はいつも珈琲ばかり飲んで紅茶は滅多に飲まないから、紅茶を飲むこと自体非日常のこと。

香り高く丁寧に淹れてもらった。

この写真にちなんで、こちらを紹介したい。
キャロル
パトリシア・ハイスミス河出文庫

幻の恋愛小説!?

異性への愛を同性に感じるとは?

自分は同性愛を理解できない(申し訳ない)ことだけど、読み終えて、この小説は別にそこが問題なのではないと思った。

以前から、パトリシア・ハイスミス興味はあったのだが、よりによって最初の1冊としては難解なものを選んでしまったかも...。それだけに、読み始めはなかなか小説世界に入れなかった。

主人公のテレーズ(女)は、リチャード(男)というまあまあな彼氏がいるにも関わらず、キャロル(ケイト・ブランシェット)に魅了される。ダニーはリチャードの友人の兄で、当初は彼の存在する意味を自分は理解できてなかったが、終盤!良い立ち回りをする。

けれどもダニーはテレーズの腕をさらに引き寄せた。テレーズは寒くて、何よりもひどくみじめだった。こんな心持ちになるのは、宙ぶらりんのまま固まったリチャードとの関係のせいだ。会う回数は増えているのに、肝心のふたりの距離はちっともせばまらない。

ダニーとは適切な距離を保って付き合っているのだが、それでいてどうしてもリチャードを受け入れることができない設定。しかし、自分(個人的な感想で失礼)は距離の縮まらない異性は最初からダメだから、こういう設定は頭で理解できても、「ダメなものはダメだね」と共感できない。

そして、キャロルとの出会いは

「うかがいます」テレーズは答えた。
「本当に不思議な娘ね」
「なぜ?」
「突然、どこからともなく降ってあらわれたんですもの」

と、説明づけられる。

まあ、運命的な出逢いはそういうものだから、こういう会話で十分自分は納得できるしワクワクもする。

それから、ミステリー要素を含みながらテレーズとキャロルの破綻へとストーリーは続くのだけど、キャロルからテレーズへの弁解の手紙の一部として述べられる。

わたしたちのような関係はいたずらに騒がれると同時にひどくおとしめられているわ。でもわたしには、キスの快楽も、男女の営みから得られる快楽も、単なる色合いの違いでしかないように思えるの。

これはきっと作者(ハイスミス)の見解なんだろうなと。

キャロルとの関係破綻で凹むテレーズに、絶好のタイミングでダニーが言い寄る!!

「彼は自分が捨てられたと思っている。プライドを傷つけられたとね。頼むから僕がリチャードと同じだと思わないでくれ。僕は、人生は誰のものでもなく本人のものだと思っている」
 ふいにキャロルがいっていた言葉が頭に浮かんだ。大人は誰でも秘密を持っているものよ。

しかし、ダニーは大人?だからリチャードのようにゴリ押しはしない。

「大人は誰でも秘密を持っているものよ」がいいよね。自分も忘れるくらい秘密だけはいっぱいある。

前半、テレーズとキャロルがお互い惹かれてゆく過程を読むのは辛く(失礼!)、別に二人の破綻を期待したのではないが、テレーズに別れの試練が訪れてからの気持ちの変容に読み応えがあった。同性愛への理解はできない自分だけど(批判するつもりはない)、ここがこの小説の一番の醍醐味だと思った。

そして、締めの最後はこちら。

あまりにもキャロルらしい仕草だったからだ。テレーズが愛している、いつまでも愛し続けるキャロルだった。もちろん以前とは違う形で愛することになるだろう。なぜならキャロルは前と同じキャロルではなく、一から知り合うのも同然なのだから。

ハッピーエンドではないが、前向きな終わり方でよかった。

異性愛でも、二人の愛が消えても戻っても、前向きになれることは素晴らしい。

映画はこれ!

youtu.be

キャロルはケイト・ブランシェットがはまりだと。小説読みつつ、自分の頭の中でキャロルはケイトだった。

でも、ニコール・キッドマンでもよいかな。アンジェリーナ・ジョリーユマ・サーマンは違う。

この1冊でした

キャロル (河出文庫)

キャロル (河出文庫)

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