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one book with a photo

小説「門」ではお寺の存在が心に染みてくる

今週のお題「芸術の秋」

やっぱり読書です。文庫本は手軽に読めるから幸せ。

小説は冬だけど夏のお寺の光景より

小説では鎌倉の仏門へ向かいますが、ここでは久遠寺からの画像をば。

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山梨県身延山久遠寺の甘露門
Nikon D5300 with 35mm f1.8

人生、迷い?多きギラギラな30代を超えると、こういう光景に安らぎを感じるように(自分は)なってきた。

この写真にちなんで、こちらを紹介したい。
夏目漱石

長編小説前期3部作の第3作目「門」

三四郎」「それから」に引き続き、前期最後の1冊です。

率直に言えば、この時の漱石は何故このようなカップルの行く末を描いていたのだろう?というのが気になっている。

解説によれば

『門』は、漱石が中年の日常をはじめて捉えた作品だといってもよい。

と総括している。

「それから」の続編と思って読めば、友人の妻を略奪愛した夫とその妻は、その経緯からどことなく世間から距離をおいてひっそり暮らしているものの、なにやかにやと関わり合いが生じる日常を主として夫からの観点とその心情を描いている。

二人の間には諦めとか、忍耐とか云うものが断えず動いていたが、未来とか希望と云うものの影は殆ど射さない様に見えた。彼等は余り多く過去を語らなかった。時としては申しあわせた様に、それを回避する風さえあった。

自分も人生ゴタゴタあって、(悲観はないけど)億劫になって世間から距離を置いていた時期もあった(まんざら過去形でもない)ので、共感は持てる。

自然の勢として、彼等の生活は単調に流れない訳に行かなかった。彼等は複雑な社会の煩を避け得たと共に、その社会の活動から出る様々の経験に直接触れる機会を、自分と塞いでしまって、都会に住みながら、都会に住む文明人の特権を棄てた様な結果に到着した。

第三者から干渉されたくないのであれば、「都会に住む文明人の特権」など興味なくなるかなとか。そもそも「文明人の特権」とは?

そして、唯一この小説で迎えるエキサイティングな場面!

ここだけかもです。

今日までの経過から推して、凡ての創口を癒合するものは時日であるという格言を、彼は自家の経験から割り出して、深く胸に刻み付けていた。それが一昨日の晩にすっかり崩れたのである。

「時が解決してくれる」が通用するのは、人の性格にもよるからね。

しかしそれも、結局は主人公である夫は鎌倉の仏門へ参禅することで逃れる。それでいて、何も解決することなくやり過ごす(ネタバレ?)という小説。

最後にまた解説の引用になるけど

漱石にとって『門』は、たんに続編というにとどまらず、それを深化させることによって、『行人』、『こころ』、『道草』といった作品にそれぞれつながる諸要素を提出しているという意味で、一つのターニング・ポイントだったというべきである。

それなりに重要な作品らしい。

この小説、嫌いなわけでないが、つかみどころがぼんやりしていた。結局は人生の山場を超えた中年期における人間関係に注目している?と解釈している。誰しも過去があっての現在だからね。

ちなみに自分は、誰からも羨ましいとも思われず、親も悲しませた30代だったけど、それなりに楽しかった。ただ、親を悲しませたのは痛手であったが、今はもう楽しい老後に向かって備えよう!みたいな結構お気楽な気分です(仕事とかはそれなりに大変だけど)

しばらくしたら、後期3部作「彼岸過迄」「行人」「こゝろ」も読んでみる。「こゝろ」は中学だか高校の教科書に出ていた作品ですね。wikipediaによれば、

作品は人間のエゴイズムを追い求めていき

だそうです。

この1冊でした

門 (新潮文庫)

門 (新潮文庫)

「カバー装画 安野光雅」氏

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